古着再利用しハーブを栽培企業など4者 培地使い実験
廃棄衣類を再利用した培地による植物の栽培実験が、淡路市尾崎の観光施設「パルシェ香りの館」の農園で進んでいる。繊維専門商社スタイレム瀧定大阪(大阪市)、緑化資材製造会社アースコンシャス(徳島県上勝町)、近畿大学(大阪府東大阪市)との4者共同事業「プラスグリーンプロジェクト」。持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みとして、園芸、農業用の販売を本格化させる。
培地は、古着の繊維を自動車の吸音素材などとしてリサイクルする際に出る切れ端を、さらに活用する。ポリエステルなどの合成繊維を綿状に加工し、水や土に含まれる有害物質などを吸着する人工ゼオライトを混ぜてできる。
SDGsへの関心の高まりを受け、製造技術を持つアースコンシャスとスタイレムが2020年から連携。「トゥッティ」の製品名で販売している。吸水性に優れ、約20年使えるという。
昨年7月、パルシェでの実験を始めた。スタイレムR&D室の坂本和也主任は「淡路島の安定した気候が実験に適していると考えた。パルシェや地元企業と協力し、培地を生かした関連商品の展開や地域活性化も目指したい」と話す。
敷地内にビニールハウスを設け、ハーブ類などを育てている。遠隔操作による水やりなど、情報通信技術(ICT)を活用したスマート農業の実験場にもしている。
取れたハーブ類はすでに、パルシェで提供するハンバーガーの具材として使っている。ハーブのアロマオイル、ハーブと淡路島産の塩を合わせたバジルソルトなどを島内企業と共同開発している。
パルシェを運営する淡路島パルシェの石井廣志社長は「物を捨てることを良しとしない時代に戻りつつある今、先頭を切って走る企業が来てくれたことは喜ばしい」と話す。培地は5リットル1980円など。